はじめまして。
舞台監督を務めます、中村乃愛(のあ)です。
タイトルは『パブリックエネミー』。
敵を作り戦うことは精神を消耗します。
私はコンフォートゾーンが狭く、精神的抑揚があると疲れてしまいます。
なので私は極力敵を作らず穏やかに生きたいのです。
今年度、コロナ禍の影響で大学はオンラインになりました。
授業で「あなたにとって演劇は不可欠か?」と問われ、私は「はい」と答えられませんでした。緊急事態宣言で多くの公演が中止となり、劇場に行けなくなっても何の苦痛もなく生きている私がいました。
コロナ禍によって様々な業界に困難が訪れました。
演劇もその1つでした。自らのこととして、大好きな演劇の危機について考えるべきでした。私は学生で演劇で生活しているわけではない立場です。その事実が私に現実から目を逸らすことを許しました。人生に文字通り緊急事態が起きていると知りながら、確実にコンフォートゾーンを飛び出すと思い自衛したのです。
その結果、私は問いに「はい」と答えられませんでした。
「大好きなことを仕事にしよう。」
私が大切にしている言葉です。この言葉と自衛をして現状から目を背けている自分とが矛盾し、その矛盾もまた私を苦しめました。
演出の虻蜂との仕事は今回で2度目になります。
彼が昨年2月に演出した『空夢』で、私は演出補佐を務めました。
お互い口下手で面と向かって感謝や伝えることは滅多にありません。
しかし、彼が私に日頃感謝してくれているのはよく知っています。私も彼の人望、熱意などを強く尊敬し、一緒に仕事がしたいと言ってくれることに感謝しています。
そして、彼の人望に惹かれ集った仲間となら、自分の弱さを背負った上で戦えるかもしれません。
2021年2月26日
舞台監督 中村乃愛
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