オンライン配信がコロナでの状況の中主流となり、足を運ばなくてもライブや演劇をおうちで楽しむことができるようになった。私自身、初めて触れる系統の作品や友人に勧めてもらったライブなどに配信で挑戦したが、配信ならではの良さであるフラットにコンテンツを楽しめる感覚にこれまで経験したことのない楽しみ方を感じたし、新しい世界に踏み込むきっかけになったりと芸術を身近にさせてくれたのを強く感じた。大きな感動を受けた、はずなのに、今作が完成に向かうと同時に悔しい思いで溢れる自分の気持ちに気づいてしまった。それは、なぜか。単純にムコウミズの良さがオンラインや配信では十分に伝えきることができないとわかったからだ。今作にある作品全体のパワーとか、疾走感、各シーンの雰囲気やインパクトの大きさは、劇場で直接観劇してもらわない限り伝えきることは不可能であると演じながら感じた。正直、配信できないのは悔しいし、果たしてこれが今の世の中にあっているのかも私にはわからないが、「演劇はなまものである」ことに意味があると初めて強く感じた。みにきてくださった方々にしか伝わらないものを創る、それが我々にしかできない醍醐味であると信じています。
2021年3月17日
縁劇集団ムコウミズ
俳優 新田晏子
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