今どのような作品を書くべきか、それが今回の悩みの種であった。
演劇より劇的な——パンデミックが起こっている——世の中が始まって以来、人々は大したことでは驚かないようになってしまったように思われる。
歴史の教科書で多くの戦争や革命の一部始終を覗いてきたのとほとんど同じ感覚で日々が流れていくが、その歴史の細部には多くの人の大きな悲しみがあったことを忘れてはいけない。
私も自粛中に報道され続けるニュースへの悲しみのあまり、免疫がこれでもかと下がったのが災いしたのか婦人科へ駆け込み、そこで「軽い性病ですね〜( ^ω^ )」と生暖かい目をした女医さんに診断された記憶がある。
正直笑った。
待合室で会計を待ちながらニヤニヤ笑った。
別に死にやしないし良いか、と。
もちろんそれは治ったのだが、誰かがこの先一生癒えることのないものが蔓延してしまっているのが事実である。
私の悩みの種から賞賛の花が咲くことなんて望まないが、薬になる根っこくらい生えてくることを期待する。
縁劇集団ムコウミズ・作家・火渡潤
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