私ごとではあるが、この稽古期間中に誕生日を迎えた。稽古場やLINEでも祝いのお言葉をいただき、基本的に学校の長期休みに被るような日に生まれた身としては最も多くの人たちに祝われた誕生日だったかも知れない。
さて、20代最後の年が幕を開けてしまった。僕はバリバリに後ろ向きで過去を振り返るタチなので、この歳になってもまだ「あの時◯◯していれば」と自己を省みることがままある。というか、ここ最近はそういう機会が本当に増えた。理由は明白である。僕より若くて僕より熱意のある演劇人たちに囲まれているからだ。
しかし、それは僕にとってコンプレックスを生む反面、非常に喜ばしいことでもあった。自らの在り方を悔やませてくれるような、眩しい人たちが仲間として存在してくれている。そんな座組にいるという事実だけは決して生涯悔やむことがないはずだ。人に恵まれたという点において、僕ほど幸運な人間もそういないだろう。年を経るに連れて(我らが団体の名にも冠されている)「縁」というものへの思い入れは深まっていく一方だが、ことこの稽古場に至っては縁に生かされ、縁に成長させられていることを痛感する。
今改めて、「あの時◯◯した」別の自分に語りかけたい。「あの時◯◯」しなかったお陰で、僕は楽しくやっている、と。
【追記】
示し合わせたわけでもないのに「三十路の誕生日おめでとう!」とのLINEをお送りくださいました向井萌々香氏および小野口伊織氏の両共演者殿におかれましてはしばらく根に持ちますので、よろしくご覚悟のほどをお願いいたします。
2021年3月12日
縁劇集団ムコウミズ
俳優 柿田よしくに
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