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執筆者の写真縁劇集団ムコウミズ

第二十一回「怒らないで聞いてほしい」

大学1年生の頃、縁劇集団ムコウミズという学内で一番健全な演劇愛好団体になんとなく入りました。

「社会の搾りカスをかき集めて形を保っているような人間が身を寄せ合って生きてるよ★ハハハッ‼︎」と説明していたので「多様性に配慮した福祉保護団体なんだなあ」と思っていたのですが、その実態は社会から演劇を自由にやる権利を武力で獲得しようと目論む反社会戦闘民族でした。

入団後、私は組織の幹部に銃を突きつけられ「タイプミスが多いんじゃあ!」と怒られながら食事もろくに与えられずに台本を書かされ続けました。

そんな中で生まれたのが、この『パブリックエネミー』だったのです━━━


と、このように 嘘を創るのが私の生業です。

これで人様からお金をもらってご飯を食べていくなんて世間に怒られて当然です。

だからこそ、自分で生み出した虚構の中の現実にきちんと向き合わなければいけない…けれど、震災から10年とか、アフターコロナとか、それは所詮、安全圏にいる人間が勝手に作った時間の区切りでしかありません。

私も、その勝手な人間の一人です。

そしてそんな自分に今できることがたまたま演劇だっただけならば、今だけは私が創る嘘を怒らないで聞いてほしいと同時に皆さんにこうしたお願いをしないと自分の言葉の無責任さと無力さで死にたくなる日々を乗り越えることが一生できる気がしません。

生きててごめんと、私はもう誰にも言いたくないのです。



2021年3月11日

縁劇集団ムコウミズ

劇作家 火渡潤

 

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